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【第3回】6月はやっぱりフレッシュ!

 ダッチャ!吉増裕士です。今日はドトール・祖師ケ谷大蔵店に来ています。回りには気になる客もいなく、落ち着いた感じです。あえて言えば、窓側の席についている白髪オカッパの老婆が小刻みに動いているのが僕の気を引かないでもないですが。その小刻みが彼女の意志によるものかそうでないのかは、後ろ姿の彼女からは判断できませんが、あの白髪は見事です。なんだか色、つや、質感から、調理前の春雨を思わせます。バッサリ切って、湯通しして、軽く辛めに味付けしたところで白髪は白髪、バッサリ髪を切られたバアさんはバアさんでたぶん怒るだろうし、改めて思うのは、何歳になっても女性にとって髪の毛は春雨ではなく命なのだということです。そう言えば、昔付き合ってた彼女の髪を切り揃えてあげようとしたら、斜めになっちゃって、泣かれた記憶があります。僕は斜めなのが面白くて笑っちゃったのですが、彼女は泣いてました。何故泣くのか僕には理解できず、自分の髪も斜めに切ってみたのですが、やっぱり面白くて笑ってしまいました。あの時、僕は自分の髪も斜めに切るのではなく、彼女にこう言ってあげるべきだったのです「幸せになろう」と。

 さて、リボルブ方式の稽古も残り少なくなってきました。稽古が残り少なくなっていくのに対し、やる事が増えてくるっていうのは、どうゆうことなんでしょう?何か間違ってるのでしょうか?誰か教えて下さい。

 今回はオムニバス・・・、なんですが、かなりそれぞれの話がつながってます。全9話なんですが、それが時間も行ったり来りと絡みあって複雑かも。でも楽しいと思うんですけどねぇ、僕が面白いと思うことはかなり詰め込んだつもりなので・・・。でも演じる役者は大変だろうな、なんせ、僕は台本を書く上ではフィクション第一主義ですから。現実をなぞるような台本には今のところ興味がありません。荒唐無稽、ナンセンスであればあるほどドキドキしちゃいます。そんな台本にリアリティーを持たせるのが役者と演出の仕事だと思うのですが、いかがなもんでしょう?僕がもっとうまく伝えられればいいんですけどねぇ、演出はホント苦手です。僕がやって見せれば一番早いのかもしれないのですが、それもねぇ・・・、誰か教えて下さい、日本語を。

 9話の内、4話が取調室での話です。ある殺人事件の容疑者が取調室でサナギになって容疑者じゃないものに生まれ変わるのをなんとかふせごうとする刑事たちの話を軸に、サナギになってしまった爺さんを持ち歩く女性の過去と未来、秘密組織サナギ倶楽部、世界征服を企む外国人集団、そんな話がべらぼうな感じで、そしてスタッカートに展開していきます。トータル、1時間30分。是非ちょっとでも興味がわいたら観に来て下さい。劇場で長〜くして待ってます。

 ふとあの席を見るともうあの老婆はいません。おそらく、春雨の精か何かだったのでしょう。そんな白昼夢を見せてくれる祖師ケ谷大蔵にフレッシュ!では、また。

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