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【第49回】1・2・3・4本飲みました!!


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酒は旨いです。美味しい酒を一人で飲んでも美味しいかもしれないけど、皆で飲めばもっと旨くなります。でも飲み過ぎには注意しましょう。ていうか注意します。デジカメに写真が残っていたのが救いです。この頃が一番楽しかったな。写真見てるとほんと楽しかったことしか思い出さない、これぞ写真の力。何か閉じ込めてんだよ、まさに岸辺のアルバム国広も飛び込んで行くぞ的発想。皆で某沖縄料理屋さんで飲み明かしたのです。写真の泡盛どれも美味しかった!!左の写真の右下に小さく映ってる緑のカボスみたいな果実は沖縄のシークワーサーです。このシークワーサーを絞って飲んだらもう最高!!いくらでも飲めます!でもいくらでも飲んじゃうと大変なことになりますが・・・。

それではここで泡盛について。泡盛は沖縄の焼酎と言えるけど、逆に本格焼酎のルーツとも言えるわけで、そもそも焼酎と泡盛の違いはと言うと、まず泡盛の原料はタイ米、そして麹は黒麹が用いられ、その作り方においてはちと難しい話になりますが、普通の本格焼酎は(てことは本格焼酎についても説明しないといけないか)、麹・酵母・水で一次もろみをつくる一次仕込みとそれを主原料(芋焼酎なら芋)とあわせ二次もろみをつくる二次仕込みと二段階で仕込むのに対し、泡盛は初めから原料のタイ米をあわせ一度に仕込む全麹仕込みで作られるとかなんとか細かい話はわからなくても、とにかく独自の製法で造られるからこそ独特の味わいが生まれるのであり、泡盛は沖縄でのみ造ることが許された世界に誇る日本の蒸留酒なのである。

そしてこの独自の製法と沖縄でのみ製造が許されたというのは、「琉球泡盛」についてWTO(世界貿易機関)加盟国間で取り決める酒の産地表示として定められていて、つまりシャンパーニュ地方のシャンパンのように決められた産地の決められた製法で造らなければならないお酒なのです。焼酎では他に熊本の球磨焼酎なんかもそうです。

おまけに、本格焼酎について。本格焼酎=乙類焼酎つまり最近はやりの芋焼酎はじめいいちこといった焼酎と、甲類焼酎つまりトライアングルとか宝焼酎といった焼酎の違いについてですが、それは単式蒸留器と連続式蒸留器の違いです。前者の本格焼酎の単式蒸留器は一度だけ蒸留を行い原料の風味や香りを残し独特の味わいを残す製法で、後者の甲類焼酎の連続式蒸留器は連続して蒸留することで逆に原料の風味や味わいを消しアルコール分のみを抽出する製法です。ですから本格焼酎はロックや水割りもしくはお湯割りでその独特の風味を味わう飲み方が向いていて、甲類焼酎はサワーなどで他と合わせて飲むのに向いているというわけです。さらにもうひとつだけ、本格焼酎の中でもさらに違いがありまして、それはいいちこや二階堂と僕がこのグルメグリで書いたりしてる焼酎の違いなんですが、減圧蒸留と常圧蒸留というもので前者は圧力をかけることで不純物が出る前に蒸留を完了する方法で、後者は通常の気圧で蒸留し不純物も抽出される方法です。不純物とはよく言えば原料独特の風味・香りであり、悪く言えばクセ・くさみであるわけで、ほんとこれは好き嫌いです。その意味ではいいちこや二階堂はクセがなく飲みやすいから大ヒット商品となり、僕がよく飲む芋焼酎なんかはその独特の風味があるからこそやめられないわけです。でもおそらくかつての常圧蒸留の焼酎はクセがあり過ぎて受け入れられない面もあったに違いなく、そう考えるとこれは蒸留技術が日々進歩している結果でもあり、だからこそ旨い酒がうまれ続けるに違いないのです。

おまけが一番長くなったうえに、ほとんど酒の説明ばかりだったけど、こんなこともたまにはためになるでしょ。そして僕はお酒の飲み方については今度こそ堅く心に誓います。大人になります。



写真=左から、SEIFUKU(請福)、八重泉、カリー春雨(カリーとは沖縄の方言で“いいこと”、そんな意味だったかな?)、残波